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リモートワークからハイブリッドワークへ。社員が一堂に会する機会、どう有効活用?

コロナ禍で浸透したリモートワークを継続するのか、完全出社に戻すのか——。企業によって、あるいは会社と社員との間で、その考え方は分かれるところ。そんな中、デジタルエージェンシーのTAMは、10月から「毎週金曜日は出社日」とし、ハイブリッドワークを推進しています。

そこで問われるのが「出社する意味」。社員が一堂に会する機会をどのように有効活用できるでしょうか? そのヒントをTAMの社内交流活動に見いだせるかもしれません。ECチームのディレクターでありながら、「TAM Bar」「TAM’s Coffee」「ヨガ部」を運営する瀧本佳穂さんにお話を聞きました。


“ななめのつながり” を作る

——瀧本さんが推進している活動について教えてください。

株式会社TAM Webディレクター 瀧本佳穂
1995年生まれ。新卒でTAMに入社。事業会社、制作会社への転職を経て、2022年TAMに出戻り転職。現在はWebディレクターとしてECサイトの構築や運用に関わる案件を担う

TAMの大阪オフィスでは、一階のガレージで月に1回「TAM Bar」、好きな豆を使って自由にエスプレッソ、ハンドドリップなどいろんな形でコーヒーを淹れて楽しむ「TAM’s Coffee」、そして「ヨガ部」が開催されています。

私が一番力を入れているのは、月に一度の「カレー部」ですね。

カレー部はオフィスにあるキッチンを使って、4〜5人で前日仕事が終わった後にカレーを作り、翌日のランチまで “一晩寝かせて” 振る舞います。社員ならだれでも食べられて、毎回20人くらいキッチンに集まります。

実はこの活動は始まってもう4年くらい経ちます。初回はチキンカレーで、私がスパイスカレーを作ったことがなかったのでレシピを見ながらグラム単位で測っていました。最近はスパイスカレー好きなメンバーが増えたので、メニューはかなり自由になっています。

——「カレー」を選んだ理由は、瀧本さんがお好きだからですか?

実はそこまで大好きというわけではないんです(笑)。でも、カレーはみんな好きでしょうし、それにスパイスの調合によって毎回味が変わるのが面白いんですよ。

「先月よりも美味しい!」「こんな食材を入れても美味しいよ」「来月はチキンカレーを作ってみない?」と、みんなでレシピを考えたり、食べた人からアイデアをもらえたり、会話やコミュニケーションが生まれやすいのが、実はカレーの魅力だと思います。

——カレー部が生まれた経緯はなんだったんでしょうか?

きっかけは、2019年頃に大阪オフィスにキッチンができたことです。それも、あるメンバーがななめのつながりを作ろうと言ったのがきっかけで。”ななめ” というのは、上司と部下のような ”縦” でも、同じプロジェクトに携わる同僚のような “横” でもない、チームを超えた関係のことですね。

TAMは、最近は新卒メンバーも積極採用していますが、以前は中途採用がメインで、”新卒同期” という存在がいませんでした。新卒同期ってきっと、楽しいこと、つらいことを共有できる、大学の友人とはまた違う特別な存在なんだろうなと思います。私も当時、そういう存在がいなかったので、2つ上の先輩と新卒同期のような感じでよく話していました。

私はその後、「事業会社で働いてみたい」ということでTAMを一度退職したんですが、3年くらい経って出戻り転職しました。TAMに出戻りできたのも、昔からのななめのつながりのおかげ。そのタイミングで、コロナ禍で一時休止していたカレー部を復活させました。

というのも、コロナ禍でリモートワークが主流になり、新しく入ってきた人がすぐに馴染めるようになるための場がないなと気づいたんです。「以前、毎日出社していたときにはあった、ふらっと自己紹介できたり話せたりする環境を復活させないと」と。

それに、出戻りということで、「以前のTAMの空気も、外から入ってきたばかりの新しい人の感覚も分かるからこそ、その違和感を払拭できるのでは?生かさない手はない」とも、思いました。

“仕事以外”でつながるからミスが減り、助け合える

——カレー部を開催して、手応えはどうですか?

やっぱり「一緒に食事をする」のはいいですよね。

リモートワークで難しいのは、感情を共有すること。チャットやオンライン会議では、どうしても伝わりづらいですから。同じ言葉を使っていても、それをどんな雰囲気や温度感で話しているかによって、微妙にニュアンスが違うこともあります。

食事は人にとって一番素直な行為。その場ではその人の素が出るというか、身構えずに自然体で話しやすくなる。感情や言語化できないものを共有できるから、人と人との距離が近づくのかなと思っています。

“仕事以外” のその人の魅力を知れるのもカレー部のいいところです。例えば、みんなにカレーをついで配るとき、率先して食器を配ってくれたりするのを見ると、「ああ、この人は気遣いができる人なんだな」って。

リモートワークだと、どうしても仕事の話に終始してしまって、”仕事だけ” の関係になりがち。仕事だけの関係で、仲良くないと、急なちょっとしたお願いをするのも気を遣う。「それなら自分でやってしまう」となって、ふさぎ込んでしまう。結果、それがストレスになり、ミスを引き起こす。それは、私自身も他の会社で経験したことでした。

また、カレー部や他の活動を始めてから、仕事以外のつながりができて、距離が近くなったからか、悩みを打ち明けてもらいやすくなった気もします。

飲みニケーションだけだと、仕事終わりになるので、時間やお酒を飲めないなどの制約で集まれないこともありますが、カレーを一緒に作ったり、コーヒーを飲んだり、飲みニケーション以外のコミュニケーションを取ることが大切だと思っています。

悩みが分かるから、私も手助けできる。新入社員からは「チーム以外の人と知り合えた」、ベテランメンバーからも「新しく入った人を知れてよかった」と聞きますね。

社内外で働きやすい環境作りを

——リモートワークか、出社か。瀧本さんはどう考えますか?

TAMでは、この10月から「毎週金曜日は出社日」となりました。

リモートワークと出社にはそれぞれのメリットがあるので、両立できるのはありがたいです。タスクが詰まっているときは在宅で集中したほうがよかったりもします。

ただ、出社して話すことで、自分の仕事の幅が広がったり、仕事がより早く終わったりすることもある。私が携わっているECの仕事なんかは、ほとんどがそうと言ってもいいです。サイトのデザインやワークフローの相談など、チャットでやり取りしても結論が出ないのに、「会って話したら5分で終わった」みたいな(笑)。

出社日は「作業ではなくミーティングをする日」と割り切るのも、いい手かもしれませんね。

——今後、カレー部をはじめ、社内での活動をどう広げていきますか?

よく、来社した方から、TAMの雰囲気を褒められることがあります。でも、なにがそう感じさせているのかは、言語化するのはなかなか難しい。

思うに、「その会社らしさ」って、個々人が持つ魅力ではなく、複数の人の関わりの中で生まれるもの。その言葉になりにくい「らしさ」を体感できたり、発信できたりする場所になれたらいいなと思っています。

これって、「TAMじゃなきゃできない」というわけでもないと思っています。だから、外に広げる意識も持っていたくって、「TAM Bar」のような場を、お客様など、社内・社外関係なく、だれとでもコミュニケーションを取れる機会にしていけたらと。

——社外にも少しずつ広げていくんですね。

そういう場や機会が広がっていけば、仕事や職場の人間関係など、働く環境がより良くなっていくと思うんですよね。

どんなに仕事ができる人でも、環境次第では活躍できない。私も経験しましたが、「今がつらい」と感じてしまうのは、決して自分だけのせいではなくて、ある程度は環境のせいでもあると思っています。

そのような環境にいる人に向けて、自分を責めすぎず、解決できるような環境作りを一緒に考えるような活動もしていきたいです。

[取材] 佐藤紹史 [編集] 岡徳之 [撮影] 藤山誠


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